スキップしてメイン コンテンツに移動

Project Euler - Problem 3

問題

  • 原文

    What is the largest prime factor of the number 600851475143 ?

  • 日本語訳

    600851475143 の素因数のうち最大のものを求めよ。

解答

いきなり難易度が上がりました。素因数分解の問題です。 結局のところ片っ端から割ってみるしかないのですが、探索範囲を狭めることはできます。

正の整数の範囲で考えると、l = m * nかつm >= nであれば、floor(sqrt(l)) >= nであることが直感的に分かります。ここでfloorは実数を0の方向に丸めて整数にする関数、sqrtは平方根を返す実数関数です。 nが分かれば、mは除算で求められます。つまりlが与えられた時、それを2つの因数に分解するのに探索する範囲は高々2 .. floor(sqrt(l))で十分ということです。 2つに分けられたならこっちのもの、得られたmとnを再帰的に分解して、その結果を合わせれば素因数分解の結果が得られます。 アルゴリズムを書き下すと次のようになります:

  1. n <- floor(sqrt(l))とする。
  2. n = 1なら、これ以上は分解できない(lは素数である)のでlをそのまま返す。
  3. nがlの因数なら、m <- l / nとし、mとnに対してこのアルゴリズムを再帰的に適用し、その結果を連結して返す。
  4. 因数でないなら、n <- n - 1とし、2.から繰り返す。

これで計算は可能です。しかしもう少し最適化を検討してみましょう。

偶数は一般に2mの形で表せます。同様に奇数は2m + 1と書けます。 偶数同士の積は2m * 2n = 4mnとなり、l = 2mnとおけば2lなのでこれも偶数です。 奇数同士の積は(2m + 1)(2n + 1) = 4mn + 2(m + n) + 1であり、l = 2mn + m + nとすると2l + 1なのでこれも奇数です。 偶数と奇数の積は2m(2n + 1) = 4mn + 2mなので、l = 2mn + mとおいて2lなので偶数です。 つまり、奇数の因数は必ず奇数のみから成るということが分かります。先ほどのアルゴリズムでは、4.のステップでn <- n - 1としていました。これではlとnが両方とも奇数の時、1回不要な繰り返しが生じることになります。つまりこの場合を特別扱いして、n <- n - 2とすれば繰り返しを減らすことができます。 幸い、問題で与えられた600851475143という数値は奇数なので、この最適化の恩恵を十分に受けることができます。

この最適化を施したところ、40%ほど高速化しました。上の考察におけるlはn、nはdivという名前になっています。

(define (divisor-of? n m) (zero? (modulo m n)))
(define (factorize n)
  (define div (inexact->exact (floor (sqrt n))))
  (define (factorize-1 n div)
    (cond
     ((= div 1) (list n))
     ((and (odd? n) (even? div)) (factorize-1 n (- div 1)))
     ((divisor-of? div n) (append (factorize (/ n div)) (factorize div)))
     ((odd? n) (factorize-1 n (- div 2)))
     (else (factorize-1 n (- div 1)))))
  (factorize-1 n div))
(define (solve)
  (apply max (factorize 600851475143)))
(define (main argv)
  (display (solve))
  (newline))

追記

コメントの匿名氏のコードを基にしたところ500倍高速になりました。よって上記の議論は忘れて手続き的に書いた方が良さげ。 多値を扱うのにSRFI-8のreceiveマクロを使っています。

(define (divisor-of? m n) (zero? (modulo n m)))
(define (factorize n)
  (define (factorize-1 n i result)
    (cond
     ((< n (* i i)) (reverse (if (= n 1) result (cons n result))))
     ((divisor-of? i n) (factorize-1 (/ n i) i (cons i result)))
     (else (factorize-1 n (+ i 2) result))))
  (receive (n result)
           (let prepare-loop ((n n) (result '()))
             (if (divisor-of? 2 n) (prepare-loop (/ n 2) (cons 2 result))
                 (values n result)))
           (factorize-1 n 3 result)))
(define (solve)
  (apply max (factorize 600851475143)))
(define (main argv)
  (display (solve))
  (newline))

コメント

  1. (define factorize
       (lambda (n)
     
          (define result '()
     
          (define check
             (lambda (n i)
                (let loop ([n n] [c 0])
                   (if [zero? (remainder n i)]
                         (loop (/ n i) (+ c 1))
                         (begin
                            (if [> c 0] (set! result (cons (cons i c) result)))
                            n)))))
     
          (let loop ([n (check n 2)] [i 3])
             (cond
                ([= n 1] (reverse result))
                ([> (* i i) n] (reverse (cons (cons n 1) result)))
                (else (loop (check n i) (+ i 2)))))))
     
    (caar (reverse (factorize 600851475143)))

    返信削除
  2. 速い!当社比400倍ですね。
    checkが何をしているのか少し悩みました。乗数をカウントして連想リストにしているのか。
    副作用を使ったコードは避けたいのですが、ここまで違うと参るなあ。参考にさせてもらいます。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

js_of_ocaml の使い方

js_of_ocaml (jsoo) は Ocsigen が提供しているコンパイラである。その名の通り OCaml バイトコードから JavaScript コードを生成する。 これを使うことで OCaml で書いたプログラムを Web ブラウザや node.js で実行することができる。 インストール 単に OPAM を使えば良い: $ opam install js_of_ocaml js_of_ocaml-ocamlbuild js_of_ocaml-ppx バージョン 3.0 から OPAM パッケージが分割されたので、必要なライブラリやプリプロセッサは個別にインストールする必要がある。 とりあえず使うだけなら js_of_ocaml と js_of_ocaml-ppx の二つで十分。後述するように OCamlBuild でアプリケーションをビルドするなら js_of_ocaml-ocamlbuild も入れると良い。 これで js_of_ocaml コマンドがインストールされ、OCamlFind に js_of_ocaml 及びサブパッケージが登録される。 コンパイルの仕方 以下ソースファイル名は app.ml とし、ワーキングディレクトリにあるものとする。 手動でやる場合 一番安直な方法は、直接 js_of_ocaml コマンドを実行することである: $ # バイトコードにコンパイルする。js_of_ocaml.ppx は JavaScript オブジェクトの作成や操作の構文糖衣を使う場合に必要 $ ocamlfind ocamlc -package js_of_ocaml,js_of_ocaml.ppx -linkpkg -o app.byte app.ml $ # 得られたバイトコードを JavaScript にコンパイルする $ js_of_ocaml -o app.js app.byte OCamlBuild を使う場合 OCamlBuild を使う場合、.js 用のビルドルールを定義したディスパッチャが付属しているので myocamlbuild.ml でこれを使う: let () = Ocamlbuild_plugin . dispatch Ocamlbuild_js_of_ocaml . dispatcher $ # app.ml -...

Perl 7 より先に Perl 5.34 が出るぞという話

Perl 5 の次期バージョンとして一部後方互換でない変更 (主に間接オブジェクト記法の削除とベストプラクティスのデフォルトでの有効化) を含んだメジャーバージョンアップである Perl 7 がアナウンスされたのは昨年の 6 月 のことだったが、その前に Perl 5 の次期周期リリースである Perl 5.34 が 5 月にリリース予定 である。 現在開発版は Perl 5.33.8 がリリースされておりユーザから見える変更は凍結、4 月下旬の 5.33.9 で全コードが凍結され 5 月下旬に 5.34.0 としてリリース予定とのこと。 そういうわけで事前に新機能の予習をしておく。 8進数数値リテラルの新構文 見た瞬間「マジかよ」と口に出た。これまで Perl はプレフィクス 0 がついた数値リテラルを8進数と見做してきたが、プレフィクスに 0o (zero, small o) も使えるようになる。 もちろんこれは2進数リテラルの 0b や 16進数リテラルの 0x との一貫性のためである。リテラルと同じ解釈で文字列を数値に変換する組み込み関数 oct も` 新構文を解するようになる。 昨今無数の言語に取り入れられているリテラル記法ではあるが、この記法の問題は o (small o) と 0 (zero) の区別が難しいことで、より悪いことに大文字も合法である: 0O755 Try / Catch 構文 Perl 5 のリリース以来 30 年ほど待たれた実験的「新機能」である。 Perl 5 における例外処理が特別な構文でなかったのは予約語を増やさない配慮だったはずだが、TryCatch とか Try::Tiny のようなモジュールが氾濫して当初の意図が無意味になったというのもあるかも知れない。 use feature qw/ try / ; no warnings qw/ experimental::try / ; try { failable_operation(); } catch ( $e ) { recover_from_error( $e ); } Raku (former Perl 6) だと CATCH (大文字なことに注意) ブロックが自分の宣言されたスコープ内で投げられた例外を捕らえる...

Project Euler - Problem 35

問題 原文 How many circular primes are there below one million? 日本語訳 100万未満の巡回素数は何個か? 解答 回転させた数値がすべて素数ということは、すべての桁が奇数でなければいけません(ただし2を除く)。 追記 匿名氏にコメントでご指摘頂いたのでコードを一部修正しました。 いずれかの桁に5がある場合も、回転させると必ず5の倍数が現れるので除外できます。 もっと追記 前の修正に間違いが入っているのをご指摘頂いたので修正しました。 5自体は素数なので、巻き添えで除外してはいけません。 #!/usr/bin/env perl use strict; use warnings; use feature qw/say state/; use List::MoreUtils qw/all none/; sub is_prime($) { state %memos; my $n = shift; return 0 if $n < 2; return 1 if $n == 2; return 1 if $n == 3; return $memos{$n} if exists $memos{$n}; $memos{$n} = none { $n % $_ == 0 } 2 .. sqrt $n; } sub rotate($) { my $n = shift; substr($n, 1) . substr($n, 0, 1); } sub rotations($) { my $n = shift; my %seen = ($n => 1); $seen{$n} = 1 until exists $seen{$n = rotate $n}; keys %seen; } sub is_circular_prime($) { state %memos; my $n = shift; return 0 if $n =~ /[024568]/ and $n != 2 and $n != 5; return $memos{$n} if exists $memos{$n}; my ...

Project Euler - Problem 27

問題 しばらく止まってましたが今日から再開。 原文 Considering quadratics of the form: n 2 + an + b, where |a| < 1000 and |b| < 1000 Find the product of the coefficients, a and b, for the quadratic expression that produces the maximum number of primes for consecutive values of n, starting with n = 0. 日本語訳 |a| < 1000, |b| < 1000 として以下の二次式を考える (ここで|a|は絶対値): n 2 + an + b n=0から始めて連続する整数で素数を生成したときに最長の長さとなる上の二次式の, 係数a, bの積を答えよ. 解答 最大探索範囲は-999 <= a <= 999、-999 <= b <= 999なので、およそ4,000,000通りの係数の組合せを試すことになります。組合せ毎に数列を生成して、それが素数か判定するわけですからたまりません。簡単な検討を加えて範囲を絞りましょう。 与えられた二次式をf(n)とおくと、f(0) = b、f(1) = a + b + 1です。 f(n)が長さ2以上の素数列を生成するならこれらは素数ですから、次のことがいえます: bは素数である a + b + 1は素数である b = 2のとき、aは偶数である それ以外のとき、aは奇数である 素数判定関数 is_prime には同じ引数が与えられることがよくあるのでメモ化しています。 #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; use feature qw/say/; sub prime_seq_len($$) { my ($coeff_a, $coeff_b) = @_; my $len = 0; my $n = 0; $len++, $n++ while is_prime($n * ($n + $coeff_a) ...

(multi-)term-mode に dirtrack させる zsh の設定

TL;DR .zshrc に以下を書けば良い: # Enable dirtrack on (multi-)term-mode. if [[ " $TERM " = eterm * ]]; then chpwd() { printf '\032/%s\n' " $PWD " } fi 追記 (May 14, 2025): oh-my-zsh を使っていれば emacs プラグインが勝手にやってくれる: plugins = ( emacs ) 仔細 term-mode は Emacs 本体に付属する端末エミュレータである。基本的には Emacs 内でシェルを起動するために使うもので、古い shell-mode よりも端末に近い動きをするので便利なのだが、一つ問題がある。シェル内でディレクトリを移動しても Emacs バッファの PWD がそのままでは追従しない点だ。 こういう追従を Emacs では Directory Tracking (dirtrack) と呼んだりするが、 shell-mode や eshell ではデフォルトで提供しているのに term-mode だけそうではない。 要するにシェル内で cd してもバッファの PWD は開いた時点のもの (基本的には直前にアクティヴだったバッファの PWD を継承する) のままなので、移動したつもりで C-x C-f などをするとパスが違ってアレっとなることになる。 実は term-mode にも dirtrack 機能自体は存在しているのだが、これは シェルがディレクトリ移動を伴うコマンドを実行したときに特定のエスケープシーケンスを含んだ行を印字することで Emacs 側に通知するという仕組み になっている。 Emacs と同じく GNU プロジェクトの成果物である bash は Emacs 内での動作を検出すると自動的にこのような挙動を取るが、zsh は Emacs の事情なんか知ったことではないので手動で設定する必要がある。 まずもって「ディレクトリ移動のコマンドをフックする」必要がある訳だが、zsh の場合これは簡単で cd / pushd / popd のようなディレクトリ...