スキップしてメイン コンテンツに移動

Perl 5 to 6 - ジャンクション

これはMoritz Lenz氏のWebサイトPerlgeek.deで公開されているブログ記事"Perl 5 to 6" Lesson 08 - Junctionsの日本語訳です。

原文はCreative Commons Attribution 3.0 Germanyに基づいて公開されています。

本エントリにはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedを適用します。

Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz

Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi

NAME

"Perl 5 to 6" Lesson 08 - ジャンクション

SYNOPSIS

if $x eq 3|4 {
    say '$x is either 3 or 4'
}
say ((2|3|4)+7).perl        # (9|10|11)

DESCRIPTION

ジャンクションは順序づけられていない値の重ね合わせです。ジャンクションに対する演算はジャンクションの各要素に対して別々に実行(並列化されるかも知れません)され、その結果は同じ型のジャンクションに組み立てられます。

複数あるジャンクション型は真理値コンテキストで評価されたときのみ違いが出ます。型にはanyallonenoneがあります。

型      中置演算子
any     |
one     ^
all     &

1 | 2 | 3any(1..3)と同じです。

my Junction $weekday = any <Monday Tuesday Wednesday 
                            Thursday Friday Saturday Sunday>
if $day eq $weekday {
    say "See you on $day";
}

この例では$day'Monday'$day'Tuesday'などといった各ペアに対してeq演算子が呼び出され、その結果は再びanyジャンクションに格納されます。結果が確定するなりすぐに(この場合どれか1つでも比較が真になったら)残りの比較は中止できます。

ジャンクションは演算子だけでなく、サブルーチンに対しても機能します:

if 2 == sqrt(4 | 9 | 16) {
    say "YaY";
}

これを可能にするため、ジャンクションは通常の型階層より(ほんのちょっと)外側に位置しています:

                  Mu
                /    \
               /      \
             Any     Junction
           /  |  \
        All other types

もし引数に取ったジャンクションを捕まえて処理するサブルーチンを書きたいなら、パラメータの方をMuJunctionとして宣言する必要があります。

sub dump_yaml(Junction $stuff) {
    # YAMLがジャンクションを表現できたら良いなあ ;-)
    ....
}

注意: ジャンクションは時々直感に反するふるまいをします。非ジャンクション型では$a != $b!($a == $b)は常に等しいですが、もし一方の変数がジャンクションだとすると違った結果になることがあります:

my Junction $b = 3 | 2;
my $a = 2; 
say "Yes" if   $a != $b ;       # Yes
say "Yes" if !($a == $b);       # 出力なし

2 != 3は真なので$a != 2|3も真です。一方$a == $bという比較は単一の真理値(True)を返し、その否定はFalseです。

MOTIVATION

Perlは自然言語にかなり近くなるよう設計されており、自然言語ではしばしば「もし結果が$thisであるか結果が$thatであるなら」という代わりに「もし結果が$this$thatであるなら」のようにいいます。ほとんどのプログラミング言語では前者(を翻訳したもの)だけが許されており、少しぶきっちょな感じがします。 ジャンクションのおかげでPerl6は後者も上手に許可しています。

それ無しにはループが必要になるような大量の比較が非常に簡単に書けるようにもしています。

例として数の配列を思い浮かべ、そのすべての要素が非負であることを知りたいと想像して下さい。 Perl5ではこのようなものを書くことになるでしょう:

# Perl 5コード:
my @items = get_data();
my $all_non_neg = 1;
for (@items){
    if ($_ < 0) {
        $all_non_neg = 0;
        last;
    }
}
if ($all_non_neg) { ... }

あるいはたまたまList::MoreUtilsを知っているなら

use List::MoreUtils qw(all);
my @items = get_data;
if (all { $_ >= 0 } @items) { ...  }

Perl6では短く、かわいらしいものです:

my @items = get_data();
if all(@items) >= 0 { ... }

SEE ALSO

http://perlcabal.org/syn/S03.html#Junctive_operators

コメント

このブログの人気の投稿

LIBLINEAR 2.41 で One-class SVM が使えるようになったので Perl から触ってみよう

改訂 (Sep 15, 2020): 必要のない手順を含んでいたのでサンプルコードと記述を修正しました。 CPAN に Algorithm::LibLinear 0.22 がリリースされました (しました。) 高速な線形 SVM およびロジスティック回帰による複数の機械学習アルゴリズムを実装したライブラリである LIBLINEAR への Perl バインディングです。 利用している LIBLINEAR のバージョンが LIBLINEAR 2.30 から LIBLINEAR 2.41 に上がったことで新しいソルバが追加され、One-class SVM (OC-SVM) による一値分類が利用可能になっています (しました。) OC-SVM って何 一値分類を SVM でやること。 一値分類って何 ある値が学習したクラスに含まれるか否かを決定する問題。 HBO の「シリコンバレー」に出てきた「ホットドッグ」と「ホットドッグ以外」を識別するアプリが典型。「ホットドッグ以外」の方は犬でも神でも一つの指輪でも何でも含まれるのがミソ。 二値分類の場合正反両者のデータを集める必要があるのに対して、一値分類の学習器は正例データのみしか要求しない (ものが多い。) 主な用途は外れ値検出で、もちろんホットドッグやホットドッグ様のものを検出したりもできる。 使い方 手順自体は他の二値ないし多値分類問題と同じです。つまり、 訓練パラメータを決めて 訓練データセットで訓練して テストデータセットで確度を検証して 十分良くなったらモデルを保存する といういつもの流れ。 訓練パラメータ use 5.032 ; use Algorithm::LibLinear ; my $learner = Algorithm::LibLinear ->new( epsilon => 0.01 , nu => 0.75 , solver => ' ONECLASS_SVM ' , ); solver => 'ONECLASS_SVM' が一値分類用のソルバです。LIBLINEAR の train コマンドで言うところの -s 21 。 OC-SVM の良いところは (ハイパー)...

Perl 5 to 6 - コンテキスト

2011-02-27: コメント欄で既に改訂された仕様の指摘がありました ので一部補足しました。 id:uasi に感謝します。 これはMoritz Lenz氏のWebサイト Perlgeek.de で公開されているブログ記事 "Perl 5 to 6" Lesson 06 - Contexts の日本語訳です。 原文は Creative Commons Attribution 3.0 Germany に基づいて公開されています。 本エントリには Creative Commons Attribution 3.0 Unported を適用します。 Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi NAME "Perl 5 to 6" Lesson 06 - コンテキスト SYNOPSIS my @a = <a b c> my $x = @a; say $x[2]; # c say (~2).WHAT # Str() say +@a; # 3 if @a < 10 { say "short array"; } DESCRIPTION 次のように書いたとき、 $x = @a Perl5では $x は @a より少ない情報—— @a の要素数だけ——しか持ちません。 すべての情報を保存しておくためには明示的にリファレンスを取る必要があります: $x = \@a Perl6ではこれらは反対になります: デフォルトでは何も失うことなく、スカラ変数は配列を単に格納します。 これは一般要素コンテキスト(Perl5で scalar と呼ばれていたもの)及びより特化された数値、整数、文字列コンテキストの導入によって可能となりました。無効コンテキストとリストコンテキストは変更されていません。 特別な構文でコンテキストを強制できます。 構文 コンテキスト ~stuff 文字列 ?stuff 真理値 +stuff ...

Perl の新 class 構文を使ってみる

Perl 5 のオブジェクト指向機能は基本的には Python の影響を受けたものだが、データを名前空間 (package) に bless する機構だけで Perl 4 以来の名前空間とサブルーチンをそのままクラスとメソッドに転換し第一級のオブジェクト指向システムとした言語設計は驚嘆に価する。 実際この言語のオブジェクトシステムは動的型付言語のオブジェクト指向プログラミングに要求されるおよそあらゆる機能を暗にサポートしており、CPAN には Moose を筆頭とした屋下屋オブジェクトシステムが複数存在しているがその多くは Pure Perl ライブラリである。つまり「やろうと思えば全部手書きで実現できる」わけである。 そういうわけで Perl のオブジェクト指向プログラミングサポートは機能面では (静的型検査の不在という現代的には極めて重大な欠如を除けば) 申し分ないのだが、しかし Moose その他の存在が示しているように一つ明らかな欠点がある。記述の冗長さだ。 コンストラクタを含むあらゆるメソッドは第一引数としてレシーバを受ける単なるサブルーチンとして明示的に書く必要があるし、オブジェクトのインスタンス変数 (a.k.a. プロパティ / データメンバ) は bless されたデータに直接的ないし間接的に プログラマ定義の方法 で格納されるためアクセス手段は実装依存である。これはカプセル化の観点からは望ましい性質だが、他者の書いたクラスを継承するときに問題となる。ある日データ表現を変更した親クラスがリリースされると突然自分の書いた子クラスが実行時エラーを起こすようになるわけだ。 そうならないためにはインスタンス変数へのアクセスに (protected な) アクセサを使う必要があるのだが、そのためには親クラスが明示的にそれらを提供している必要があるし、そもそも Perl にはメソッドのアクセス修飾子というものがないので完全な制御を与えるならばオブジェクトの内部状態がすべて public になってしまう。 そのような事情もあり、特にパフォーマンスが問題にならないようなアプリケーションコードでは Moose のようなリッチな語彙を提供するオブジェクトシステムを使うことが 公式のチュートリアルでも推奨 されてきた。Perl コアのオブジェクトシステムの改良は...

Perl 5 to 6 - 正規表現(またの名をルール)

これはMoritz Lenz氏のWebサイト Perlgeek.de で公開されているブログ記事 "Perl 5 to 6" Lesson 07 - Regexes (also called "rules") の日本語訳です。 原文は Creative Commons Attribution 3.0 Germany に基づいて公開されています。 本エントリには Creative Commons Attribution 3.0 Unported を適用します。 Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi NAME "Perl 5 to 6" Lesson 07 - 正規表現(またの名をルール) SYNOPSIS grammar URL { token TOP { <schema> '://' [<ip> | <hostname> ] [ ':' <port>]? '/' <path>? } token byte { (\d**{1..3}) <?{ $0 < 256 }> } token ip { <byte> [\. <byte> ] ** 3 } token schema { \w+ } token hostname { (\w+) ( \. \w+ )* } token port { \d+ } token path { <[ a..z A..Z 0..9 \-_.!~*'():@&=+$,/ ]>+ } } my $match = URL.parse('http:/...

去る6月に Perl 5.32.0 がリリースされたので差分を把握するために perldelta を読んだ件

要旨 Perl 5 メジャーバージョンアップの季節がやって来たのでまともな Perl プログラマの嗜みとして perldelta を読んだ。 今回は有り体に言えばルーティン的なリリースで、言語コアの拡張は他言語にも見られる構文が実験的に入ったくらいで大きな変化はない。新機能は RegExp の拡充が主である。 比較的重要と思われる変更点を抜粋する。 新機能 isa 演算子 実験的機能。Python とか Java における isinstance とか instanceof 。 これまでも UNIVERSAL::isa があったが、これはメソッドなのでレシーバにオブジェクトでもクラスでもない値 (i.e., 未定義値 / bless されていないリファレンス) を置くと実行時エラーが起きるのが問題だった: package Foo { use Moo; } package Bar { use Moo; extends ' Foo ' ; } package Baz { use Moo; } use feature qw/ say / ; sub do_something_with_foo_or_return_undef { my ( $foo ) = @_ ; # Returns safely if the argument isn't an expected instance, in mind. return unless $foo -> isa ( ' Foo ' ); ...; } # OK. do_something_with_foo(Bar->new); # |undef| is expected in mind, but actually error will be thrown. do_something_with_foo( undef ); これを避けるために今までは Scalar::Util::blessed を併用したりしていたわけだが、 isa 演算子は左辺が何であっても意味のある値を返すのでよりシンプルになる: # True +( bless +{} ...