2011-02-27: コメント欄で既に改訂された仕様の指摘がありましたので一部補足しました。id:uasiに感謝します。
これはMoritz Lenz氏のWebサイトPerlgeek.deで公開されているブログ記事"Perl 5 to 6" Lesson 06 - Contextsの日本語訳です。
原文はCreative Commons Attribution 3.0 Germanyに基づいて公開されています。
本エントリにはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedを適用します。
Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz
Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi
NAME
"Perl 5 to 6" Lesson 06 - コンテキスト
SYNOPSIS
my @a = <a b c>
my $x = @a;
say $x[2]; # c
say (~2).WHAT # Str()
say +@a; # 3
if @a < 10 { say "short array"; }
DESCRIPTION
次のように書いたとき、
$x = @a
Perl5では$x
は@a
より少ない情報——@a
の要素数だけ——しか持ちません。
すべての情報を保存しておくためには明示的にリファレンスを取る必要があります: $x = \@a
Perl6ではこれらは反対になります: デフォルトでは何も失うことなく、スカラ変数は配列を単に格納します。 これは一般要素コンテキスト(Perl5でscalarと呼ばれていたもの)及びより特化された数値、整数、文字列コンテキストの導入によって可能となりました。無効コンテキストとリストコンテキストは変更されていません。
特別な構文でコンテキストを強制できます。
構文 コンテキスト
~stuff 文字列
?stuff 真理値
+stuff 数値
-stuff 数値 (符号を変える効果もある)
$( stuff ) 一般要素コンテキスト
@( stuff ) リストコンテキスト
%( stuff ) ハッシュコンテキスト
@@( stuff ) lolコンテキスト
lolコンテキスト
新しいコンテキストにスライスコンテキストlol(List of List)コンテキスト(コメントで指摘があったので修正しました。多謝)というものもあります。これは内包するリストを展開しないリストコンテキストです。
@( <a b> Z <c d> ) # <a c b d>
@@( <a b> Z <c d> ) # (['a', 'c'], ['b', 'd'])
これが導入されたのは、多くの組み込み関数が2つのバージョン——フラットなリストを返すバージョンと、リストのリストを返すバージョン——を持っていることが分かったからです。
@@( stuff )
でlolコンテキストを強制できます。
MOTIVATION
より特化されたコンテキストは設計上の選択を遅らせる手段になります——例えばスカラコンテキストでリストが何を返すか決めてしまうのは気が早すぎます。リストへのリファレンスはすべての情報を保存していますが、数値比較式の中では役に立ちません。このようにどんな選択も全員を満足させることはできません。
特化コンテキストのおかげでこのような選択をする必要はありません——コンテキストはよく考慮されたデフォルト値を返し、それを望まない演算子は単により特化したコンテキストを伝播させることができます。
それら異なったコンテキストは、マッチオブジェクトのようなオブジェクトの有用性やコードの美しさをより高めます。
SEE ALSO
http://perlcabal.org/syn/S02.html#Context
http://perlgeek.de/blog-en/perl-6/immutable-sigils-and-context.html
スライスコンテキストは、「スライス」の語義が幅広いため、 lol (List of List)コンテキストに改名されました。
返信削除ご指摘ありがとうございます。修正しました。
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