スキップしてメイン コンテンツに移動

Perl 5 to 6 - 例外と制御例外

これはMoritz Lenz氏のWebサイトPerlgeek.deで公開されているブログ記事"Perl 5 to 6" Lesson 26 - Exceptions and control exceptionsの日本語訳です。

原文はCreative Commons Attribution 3.0 Germanyに基づいて公開されています。

本エントリにはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedを適用します。

Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz

Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi

NAME

"Perl 5 to 6" Lesson 26 - 例外と制御例外

SYNOPSIS

try {
    die "OH NOEZ";

    CATCH { 
        say "there was an error: $!";
    }
}

DESCRIPTION

例外はその名前に反してまったく例外的なものではありません。実際のところPerl6では通常の制御フローの一部です。

例外は潜在的なエラー(例えば0除算、存在しないメソッドの呼び出し、型チェック失敗)またはdieその他の関数の明示的な呼び出しによって生成されます。

例外が投げられるとプログラムは呼び出しフレームからCATCHブロックかtryブロックを探し、スタックを完全に巻き戻します(つまりそれまでに呼び出された全部のサブルーチンから無理矢理戻ってくるということです)。 もしCATCHtryも見つからなければプログラムは終了し、運が良ければ役に立つエラーメッセージが表示されます。 どちらか一方が見つかった場合はエラーメッセージは特殊変数$!に格納され、CATCHブロックが実行されます(tryブロックにCATCHブロックがない場合、ブロックはundefを返します)。

ここまでの説明ではまだ例外が例外的なものに思えるかも知れませんが、エラー処理は些末なアプリケーションでもなければ不可欠です。 ただそればかりでなく、通常のreturn文も例外を投げているのです!

これは制御例外と呼ばれ、CONTROLブロックで捕捉することができ、そうしない場合はサブルーチン宣言で暗黙的に捕捉されます。

次の例を考えてみて下さい:

use v6;
my $block = -> { return "block"; say "still here" };

sub s {
    $block.();
    return "sub";
}

say s();

return "block"が制御例外を投げ、現在のブロックから抜ける(したがってstill hereは表示されない)のみならず、サブルーチンからも抜けます。これはsub s...宣言で捕捉されます。 ペイロード——この例では文字列——は戻り値として渡され、最後の行のsayがこれを表示します。

$block.()try { ... }ブロックの中に入れたりCONTROL { ... }ブロックをサブルーチンの本体に置いたりすることで例外を捕捉できます。

他のプログラミング言語とは逆にCATCH/CONTROLブロックはエラーが捕捉されるスコープの(外ではなく)中にあり、字句的変数への完全なアクセスが与えられています。このことは役に立つエラーメッセージを作るのを容易にし、またエラーが処理される前にDESTROYブロックが実行されることを防ぎます。

投げられない例外

Perl6はマルチスレッドの、特に自動並列化の考えを取り入れています。 1スレッドの終了が全スレッドに影響することがないように、「ソフトな」例外が考案されました。

関数がfail($obj)を呼ぶと特別な未定義値を返します。これはペイロードに$obj(大抵の場合はエラーメッセージ)とバックトレース(ファイル名と行番号)を格納しています。 この特殊な未定義値を確認なしに処理しようとすると通常の例外が投げられます。

my @files = </etc/passwd /etc/shadow nonexisting>;
my @handles = hyper map { open($_) }, @files;

この例のhyper演算子はmapに可能な限り動作を並列化するよう伝えます。 nonexistingファイルのオープンに失敗した場合、通常のdie "No such file or directory"では他のファイルオープン処理も中断してしまいます。 しかし失敗したオープン処理は代わりにfail("No such file or directory")を呼ぶので、呼び出し元は@handlesの内容を確認することができ、完全なエラーメッセージにもアクセスできます。

ソフトな例外が気に入らない場合、プログラムの最初にuse fatal;と書くとfail()から生じる例外が即座に投げられるようになります。

MOTIVATION

良いプログラミング言語にはエラー状態を扱うための例外が必要です。 成功したかどうか戻り値をいつも確認することは厄介だし忘れがちです。

伝統的な例外は暗黙の並列化にとっては有害なことがあるので、両者の最上の部分を組み合わせる解法が必要でした: 一度にすべてを殺してしまわず、またどんな情報も取りこぼしてしまわない方法がです。

コメント

このブログの人気の投稿

js_of_ocaml の使い方

js_of_ocaml (jsoo) は Ocsigen が提供しているコンパイラである。その名の通り OCaml バイトコードから JavaScript コードを生成する。 これを使うことで OCaml で書いたプログラムを Web ブラウザや node.js で実行することができる。 インストール 単に OPAM を使えば良い: $ opam install js_of_ocaml js_of_ocaml-ocamlbuild js_of_ocaml-ppx バージョン 3.0 から OPAM パッケージが分割されたので、必要なライブラリやプリプロセッサは個別にインストールする必要がある。 とりあえず使うだけなら js_of_ocaml と js_of_ocaml-ppx の二つで十分。後述するように OCamlBuild でアプリケーションをビルドするなら js_of_ocaml-ocamlbuild も入れると良い。 これで js_of_ocaml コマンドがインストールされ、OCamlFind に js_of_ocaml 及びサブパッケージが登録される。 コンパイルの仕方 以下ソースファイル名は app.ml とし、ワーキングディレクトリにあるものとする。 手動でやる場合 一番安直な方法は、直接 js_of_ocaml コマンドを実行することである: $ # バイトコードにコンパイルする。js_of_ocaml.ppx は JavaScript オブジェクトの作成や操作の構文糖衣を使う場合に必要 $ ocamlfind ocamlc -package js_of_ocaml,js_of_ocaml.ppx -linkpkg -o app.byte app.ml $ # 得られたバイトコードを JavaScript にコンパイルする $ js_of_ocaml -o app.js app.byte OCamlBuild を使う場合 OCamlBuild を使う場合、.js 用のビルドルールを定義したディスパッチャが付属しているので myocamlbuild.ml でこれを使う: let () = Ocamlbuild_plugin . dispatch Ocamlbuild_js_of_ocaml . dispatcher $ # app.ml -...

救急外来にかかったときの記録

子どもの頃にかかった記憶はあるが自分で行ったことはなかったのでメモしておく。 先日怪我をした。より具体的に云うとランニング中に転倒し顎を地面に叩きつけた。深夜の12時ごろの話である。 その時点ては両手の擦傷が痛いとか下顎の間接が痛いとか奥歯のセラミックが割れなくて幸いだったといった程度だが、マスクを外して見るとなにやら下部に血がついている。 顎にも擦傷があるのかとうんざりしながら歩いて帰り、血の滲んだマスクを捨てて傷口を洗おうとしたところで皮膚が割けて肉が見えているのに気付いた。 一瞬顔が青くなったが単身なので倒れるわけにはいかない。幸い血は固まっていてそれほど出血していないし、先程まで運動していたからかあまり痛みもない。 この時点で明白な選択肢は3つあった。即ち: 救急車を呼ぶ 自力で病院へ行き救急外来を受診する 応急処置して朝になったら近場の医院を受診する である。まず 3 は精神的に無理だと悟った。血も完全には止まっていないし、痛みだしたら冷静に行動できなくなるだろう。 1 はいつでも可能だったが、意識明瞭で移動にも支障がない状態では憚られた。救急車が受け入れ先病院を探すのにも時間がかかると聞く。 結局とりあえず 1 をバックアップ案とし、2 の自分で連絡して病院へ向かうことにした。まずは病院探しである。このときだいたい 00:30 AM。 最初に連絡したのは最寄りの都立病院の ER だった。ここならタクシーで10分もかからない、のだが、なんと ER が現在休止しているとの回答だった。そんなことがあるのかと驚愕したがどうしようもない。 近場に形成外科の救急外来の開いている病院はないか尋ねたところ 消防庁の相談センター の電話番号を案内された。 ここで4つの病院を紹介された。余談だが相談の対応は人間だが番号の案内は自動音声に切り替わるので録音の用意をした方が良い (一応2回くり返してくれる。) いずれも若干遠くタクシーで2、30分かかるが仕方がない。最初に連絡した最寄りの病院はその日形成外科の当直医師がいなかった。二件目でトリアージの質問をされ、受け入れ可能とのことだったので受診先が決定。このとき 00:45 AM。 診察時に脱ぎ易い服に着替え (このときまでランニングウェアだった)、健康保険証を持って病院へ向かう。ガーゼがないのでマス...

Project Euler - Problem 35

問題 原文 How many circular primes are there below one million? 日本語訳 100万未満の巡回素数は何個か? 解答 回転させた数値がすべて素数ということは、すべての桁が奇数でなければいけません(ただし2を除く)。 追記 匿名氏にコメントでご指摘頂いたのでコードを一部修正しました。 いずれかの桁に5がある場合も、回転させると必ず5の倍数が現れるので除外できます。 もっと追記 前の修正に間違いが入っているのをご指摘頂いたので修正しました。 5自体は素数なので、巻き添えで除外してはいけません。 #!/usr/bin/env perl use strict; use warnings; use feature qw/say state/; use List::MoreUtils qw/all none/; sub is_prime($) { state %memos; my $n = shift; return 0 if $n < 2; return 1 if $n == 2; return 1 if $n == 3; return $memos{$n} if exists $memos{$n}; $memos{$n} = none { $n % $_ == 0 } 2 .. sqrt $n; } sub rotate($) { my $n = shift; substr($n, 1) . substr($n, 0, 1); } sub rotations($) { my $n = shift; my %seen = ($n => 1); $seen{$n} = 1 until exists $seen{$n = rotate $n}; keys %seen; } sub is_circular_prime($) { state %memos; my $n = shift; return 0 if $n =~ /[024568]/ and $n != 2 and $n != 5; return $memos{$n} if exists $memos{$n}; my ...

Perl の新 class 構文を使ってみる

Perl 5 のオブジェクト指向機能は基本的には Python の影響を受けたものだが、データを名前空間 (package) に bless する機構だけで Perl 4 以来の名前空間とサブルーチンをそのままクラスとメソッドに転換し第一級のオブジェクト指向システムとした言語設計は驚嘆に価する。 実際この言語のオブジェクトシステムは動的型付言語のオブジェクト指向プログラミングに要求されるおよそあらゆる機能を暗にサポートしており、CPAN には Moose を筆頭とした屋下屋オブジェクトシステムが複数存在しているがその多くは Pure Perl ライブラリである。つまり「やろうと思えば全部手書きで実現できる」わけである。 そういうわけで Perl のオブジェクト指向プログラミングサポートは機能面では (静的型検査の不在という現代的には極めて重大な欠如を除けば) 申し分ないのだが、しかし Moose その他の存在が示しているように一つ明らかな欠点がある。記述の冗長さだ。 コンストラクタを含むあらゆるメソッドは第一引数としてレシーバを受ける単なるサブルーチンとして明示的に書く必要があるし、オブジェクトのインスタンス変数 (a.k.a. プロパティ / データメンバ) は bless されたデータに直接的ないし間接的に プログラマ定義の方法 で格納されるためアクセス手段は実装依存である。これはカプセル化の観点からは望ましい性質だが、他者の書いたクラスを継承するときに問題となる。ある日データ表現を変更した親クラスがリリースされると突然自分の書いた子クラスが実行時エラーを起こすようになるわけだ。 そうならないためにはインスタンス変数へのアクセスに (protected な) アクセサを使う必要があるのだが、そのためには親クラスが明示的にそれらを提供している必要があるし、そもそも Perl にはメソッドのアクセス修飾子というものがないので完全な制御を与えるならばオブジェクトの内部状態がすべて public になってしまう。 そのような事情もあり、特にパフォーマンスが問題にならないようなアプリケーションコードでは Moose のようなリッチな語彙を提供するオブジェクトシステムを使うことが 公式のチュートリアルでも推奨 されてきた。Perl コアのオブジェクトシステムの改良は...

Project Euler - Problem 27

問題 しばらく止まってましたが今日から再開。 原文 Considering quadratics of the form: n 2 + an + b, where |a| < 1000 and |b| < 1000 Find the product of the coefficients, a and b, for the quadratic expression that produces the maximum number of primes for consecutive values of n, starting with n = 0. 日本語訳 |a| < 1000, |b| < 1000 として以下の二次式を考える (ここで|a|は絶対値): n 2 + an + b n=0から始めて連続する整数で素数を生成したときに最長の長さとなる上の二次式の, 係数a, bの積を答えよ. 解答 最大探索範囲は-999 <= a <= 999、-999 <= b <= 999なので、およそ4,000,000通りの係数の組合せを試すことになります。組合せ毎に数列を生成して、それが素数か判定するわけですからたまりません。簡単な検討を加えて範囲を絞りましょう。 与えられた二次式をf(n)とおくと、f(0) = b、f(1) = a + b + 1です。 f(n)が長さ2以上の素数列を生成するならこれらは素数ですから、次のことがいえます: bは素数である a + b + 1は素数である b = 2のとき、aは偶数である それ以外のとき、aは奇数である 素数判定関数 is_prime には同じ引数が与えられることがよくあるのでメモ化しています。 #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; use feature qw/say/; sub prime_seq_len($$) { my ($coeff_a, $coeff_b) = @_; my $len = 0; my $n = 0; $len++, $n++ while is_prime($n * ($n + $coeff_a) ...