スキップしてメイン コンテンツに移動

Perl 5 to 6 - 派生型

これはMoritz Lenz氏のWebサイトPerlgeek.deで公開されているブログ記事"Perl 5 to 6" Lesson 21 - Subset Typesの日本語訳です。

原文はCreative Commons Attribution 3.0 Germanyに基づいて公開されています。

本エントリにはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedを適用します。

Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz

Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi

NAME

"Perl 5 to 6" Lesson 21 - 派生型

SYNOPSIS

subset Squares of Int where { .sqrt.Int**2 == $_ };

multi sub square_root(Squares $x --> Int) {
    return $x.sqrt.Int;
}
multi sub square_root(Num $x --> Num) {
    return $x.sqrt;
}

DESCRIPTION

Javaプログラマは型のことをクラスかインタフェース(不具なクラスのようなもの)のように考えがちですが、その見方はPerl6においては狭すぎます。 型はもっと一般的に、コンテナが値に与えることができる制約です。「古典的な」制約はクラスXあるいはそれを継承したクラスのインスタンスであることです。 Perl6にもXクラスのインスタンスだとかYロールを実装しているとか、あるいはオブジェクトに対してこのコード片が真を返すといった制約があります。 最後に挙げたのが最も一般的なもので、これは派生型(Subset type)と呼ばれています:

subset Even of Int where { $_ % 2 == 0 }
# これで他の型名と同様にEvenが使えるようになった

my Even $x = 2;
my Even $y = 3; # 型不一致エラー

(試してみて下さい。Rakudoは派生型を既に実装していますが、派生型に基づいた多重ディスパッチはまだ実装されていません)(訳注: Rakudo* v2011.01で確認したところ、既に実装されているようです)

シグネチャで無名派生型を使うこともできます:

sub foo (Int where { ... } $x) { ... }
# あるいは変数を前に出して
sub foo ($x of Int where { ... } ) { ... }

MOTIVATION

コードの形で任意の型制約を許すことは究極の拡張性を与えてくれます: 現状の型システムが気に喰わなくとも、派生型による自分の型システムで包むことができます。

また、これはライブラリを容易に拡張可能にします: 扱えないデータに対して死ぬ代わりに、サブルーチンやメソッドは「悪い」データが単に多重ディスパッチャによって排除されると宣言できます。 もし排除されていたデータを誰かが扱いたくなったら、同名でそのデータを処理できる多重サブルーチンを簡単に追加できます。 この方法で例えば実数を扱う数学ライブラリを複素数を扱えるように拡張できます。

コメント

このブログの人気の投稿

BuckleScript が ReScript に改称し独自言語を導入した

Via: BuckleScript Good and Bad News - Psellos OCaml / ReasonML 文法と標準ライブラリを採用した JavaScript トランスパイラである BuckleScript が ReScript に改称した。 公式サイトによると改称の理由は、 Unifying the tools in one coherent platform and core team allows us to build features that wouldn’t be possible in the original BuckleScript + Reason setup. (単一のプラットフォームとコアチームにツールを統合することで従来の BuckleScript + Reason 体制では不可能であった機能開発が可能になる) とのこと。要は Facebook が主導する外部プロジェクトである ReasonML に依存せずに開発を進めていくためにフォークするという話で、Chromium のレンダリングエンジンが Apple の WebKit から Google 主導の Blink に切り替わったのと似た動機である (プログラミング言語の分野でも Object Pascal が Pascal を逸脱して Delphi Language になったとか PLT Scheme (の第一言語) が RnRS とは別路線に舵を切って Racket になったとか、割とよくある話である。) 公式ブログの Q&A によると OCaml / ReasonML 文法のサポートは継続され、既存の BuckleScript プロジェクトは問題なくビルドできるとのこと。ただし現時点で公式ドキュメントは ReScript 文法のみに言及しているなど、サポート水準のティアを分けて ReScript 文法を優遇することで移行を推進していく方針である。 上流である OCaml の更新は取り込み、AST の互換性も維持される。将来 ReScript から言語機能が削除されることは有り得るが、OCaml / ReasonML からは今日の BuckleScript が提供する機能すべてにアクセスできる。 現時点における ReScript の

多分週刊チラシの裏 (Oct 12 - 18, 2020)

プログラミング言語のエネルギィ効率性 おなじみ Computer Language Benchmark Game にある言語のうちプロプライエタリな Smalltalk を除く 27 言語の、時間効率性と空間効率性に加えて「エネルギィ効率性」を検証したという研究。 結果は大方の予想を外れない (コンパイラ言語 - VM 言語 - インタプリタ言語の序列) のだが、言語毎によって単位時間あたりのエネルギィ効率 (換言すると CPU 最適化性能) が異なるので「速ければより省エネ」とは必ずしも言えないことや、最大メモリ消費量は言語のパラダイムによって大方が決まり、エネルギィ効率とはほとんど相関がない (ので Java でもエネルギィ効率は高い) ことなど面白い事実が見られる。 『アメリカのインターネット』の終焉 1994 年に Netscape が設立されたとき、世界にはおよそ一億台の PC があり、その半数は合衆国にあった。 WWW はスイスで開発されたしコンピュータは英国の発明だが、インターネットは米国製だった。 米国の企業がその課題を与え、重要な製品とサービスを作り、規制や言論は米国の立場、文化、法が支配した。 (引用者訳) 合衆国政府による TikTok 分割騒動に寄せての現在と未来のインターネットの話。 今日のインターネットの利用者のうち 80 - 90% は米国外の住人である。中国のスマートフォン台数は米国と欧州を合わせたよりも多く、ソフトウェア・スタートアップの半数はシリコンバレーの外で起きている。 テクノロジーは規制産業になったが、その規則はもはや合衆国の一存では決まらないのである。 まつもとゆきひろのツイッターを見てRuby使うのをやめようと思った Ruby の原開発者にして「寛大なる就寝独裁官 (BFDL)」の Twitter における言動が差別主義とは言えないまでもマイクロアグレッションに満ちていたので製品としての Ruby にも悪印象がついたという話。 不要に攻撃的な人やコミュニティから距離を置く理性は心身の健康のためにも重要である。 FTP のフェードアウト Chrome をはじめとする Web ブラウザにおいてファイル転送プロトコル (FTP) のサポート終了が迫っていることに寄せて、半世紀に渡ってインターネットの

OCaml で Web フロントエンドを書く

要旨 フロントエンド開発に Elm は堅くて速くてとても良いと思う。昨今の Flux 系アーキテクチャは代数的データ型と相性が良い。ところで工数を減らすためにはバックエンドも同じ言語で書いてあわよくば isomorphic にしてしまいたいところだが、Elm はバックエンドを書くには現状適していない。 OCaml なら js_of_ocaml でエコシステムを丸ごとブラウザに持って来れるのでフロントエンドもバックエンドも無理なく書けるはずである。まず The Elm Architecture を OCaml で実践できるようにするため Caelm というライブラリを書いている。俺の野望はまだまだこれからだ (未完) Elm と TEA について Elm というプログラミング言語がある。いわゆる AltJS の一つである。 ミニマリスティクな ML 系の関数言語で、型推論を持ち、型クラスを持たず、例外機構を持たず、変数の再代入を許さず、正格評価され、代数的データ型を持つ。 言語も小綺麗で良いのだが、何より付属のコアライブラリが体現する The Elm Architecture (TEA) が重要である。 TEA は端的に言えば Flux フロントエンド・アーキテクチャの変種である。同じく Flux の派生である Redux の README に TEA の影響を受けたと書いてあるので知っている人もいるだろう。 ビューなどから非同期に送信される Message (Redux だと Action) を受けて状態 (Model; Redux だと State) を更新すると、それに対応して Virtual DOM が再構築されビューがよしなに再描画され人生を書き換える者もいた——という一方向の流れはいずれにせよ同じである。 差異はオブジェクトではなく関数で構成されていることと、アプリケーション外部との入出力は非同期メッセージである Cmd / Sub を返す規約になっていることくらいだろうか。 後者は面白い特徴で、副作用のある処理はアプリケーションの外で起きて結果だけが Message として非同期に飛んでくるので、内部は純粋に保たれる。つまり Elm アプリケーションが相手にしないといけない入力は今現在のアプリケーションの完全な状態である Model と、時系列イベ