macOS であっても端末エミュレータ上で CLI 版 Emacs を使っているプログラマは多いと思うが、端末側に修飾キーを取られたり東アジア文字の文字幅判定が狂ってウィンドウ描画が崩れたりなどしてあまり良いことがない。 それなら GUI 版の Emacs.app を使った方がマウスも使える上に treemacs などはアイコンも表示されてリッチな UI になる。
しかし何事も完璧とはいかないもので、CLI だと問題なかったものが GUI だと面倒になることがある。その最大の原因はシェルの子プロセスではないという点である。つまり macOS の GUI アプリケーションは launchd が起動しその環境変数やワーキングディレクトリを引き継ぐので、ファイルを開こうとしたらホームディレクトリ (~/
) でなくルートディレクトリ (/
) を見に行くし、ホームディレクトリなり /opt/local なりに好き勝手にインストールしたツールを run-*
関数やら shell
やら flycheck
やらで実行しようとしてもパスが通っていない。
ワーキングディレクトリに関しては簡単な解決策があり、default-directory
という変数をホームディレクトリに設定すれば良い。ただし起動時にスプラッシュスクリーンを表示する設定の場合、このバッファのワーキングディレクトリは command-line-default-directory
で設定されており、デフォルト値が解決される前に適用されてしまうので併せて明示的に初期化する必要がある:
(setq default-directory "~/")
(setq command-line-default-directory "~/")
次にパスの問題だが、まさにこの問題を解決するために exec-path-from-shell というパッケージがある。これを使うとユーザのシェル設定を推定し、ログインシェルとして起動した場合の環境変数 PATH と MANPATH を取得して Emacs 上で同じ値を setenv
する、という処理をやってくれる。MELPA にあるので package-install
するだけで使えるようになる。
このパッケージは GUI の時しか用がないので述語 window-system
が真である場合のみパスを初期化するように設定すれば良い:
(when (window-system)
(exec-path-from-shell-initialize)
(toggle-frame-fullscreen))
ここでついでに呼んでいる toggle-frame-fullscreen
は同じく GUI 版のみで意味がある関数で、文字通りアプリケーションの全画面表示とウィンドウ表示をトグルする。つまり起動直後に呼ぶことで最初から全画面表示になる。
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