スキップしてメイン コンテンツに移動

Punning いろいろ

Perl 6 に colon pairs という構文がある。名前の通りコロンから始まる Pair のコンストラクタで、例えば次のように使う:

:foo(42)   # foo => 42
:bar<yay>  # bar => 'yay'; 値が括弧類を使うリテラルの場合は小括弧は不要
:baz       # baz => True; 値を省略すると True になる
:!quux     # quux => False;  実に Perl らしい否定形
:$var      # var => $var

言う間でもないがこれは Hash を生成する場合のみならず、名前つき引数を渡す際にも便利である。 :$var という形式は変数の (sigil を除いた) 名前がそのままキーになるので、Perl 5 でよくある f(foo => $foo, bar => $bar, ...) といった繰り言をひとまとめにできる。 こういう構文を Punning (語呂合わせ、地口) と言ったりする。

対称的に関数のシグネチャも同様に書ける:

sub f(:$x, :$y) { $x - $y }

my $x = 42;
say f(:$x, :y(1));   # 41
say f(y => 1, :$x);  # ditto; 名前つき引数なので順番は可変

JavaScript の場合

JavaScript は冗長な用語を好むので Punning より Destructuring Assignment (の省略構文) と言った方が通りが良いだろう。 Destructuring Assignment の正確な構文は複雑だが、「右辺のオブジェクトを構築するときに値を置くべき場所に識別子を置くと対応する値が束縛される」程度の認識で概ね正しい:

const { x: value } = { x: 42 };  // value === 42

そして代入しようとする識別子名がオブジェクトのキーと同じ場合は識別子を省略できる:

const { x: x } = { x: 42 }  // x === 42
const { x } = { x: 42 };    // ditto; 上記の省略形

このようにオブジェクトを分解して代入できるのだから、オブジェクトの構築も対称にできるのが自然である:

const foo = 42;
const bar = 'yay';
const baz = true;
{ foo, bar, baz };  // { foo: foo, bar: bar, baz: baz } 即ち { foo: 42, bar: 'yay', baz: true }

OCaml の場合

Punning という用語を公式に使っているのは OCaml が有名だろう。対象はレコード型のフィールドと名前付き引数である。前二者の言語と違い静的型検査があるので安全である。

type record =
  { foo: int
  ; bar: string
  ; baz: bool
  }

let f { foo; bar; baz } =
  Printf.printf "foo: %d, bar: %s, baz: %b\n" foo bar baz

let () =
  let foo = 42 and bar = "yay" and baz = true in
  let r = { foo; bar; baz }  (* { foo = foo; bar = bar; baz = baz } *) in
  f r  (* foo: 42, bar: yay, baz: true *)
let f ~x ~y = x - y

let () =
  let x = 42 and y = 1 in
  print_int (f ~x ~y); print_newline ();  (* f ~x:x ~y:y = 41 *)
  print_int (f ~y ~x); print_newline ()   (* ditto *)

フィールド名はモジュールに所属しているので、モジュール外からレコードを生成しようとすると微妙な構文になる:

module M = struct
  type record =
    { foo: int
    ; bar: string
    ; baz: bool
    }
end

(*
  M.record 型の M.foo フィールドの値を変数 foo に束縛する。
  bar, baz も同様だが、既に M に所属していることが明らかなのでモジュール名を省略可能。
*)
let f { M.foo; bar; baz } =
  Printf.printf "foo: %d, bar: %s, baz: %b\n" foo bar baz

let () =
  let foo = 42 and bar = "yay" and baz = true in
  let r = { M.foo; bar; baz } in  (* { M.foo = foo; M.bar = bar; M.baz = baz } *)
  f r

コメント

このブログの人気の投稿

Perl 5 to 6 - コンテキスト

2011-02-27: コメント欄で既に改訂された仕様の指摘がありました ので一部補足しました。 id:uasi に感謝します。 これはMoritz Lenz氏のWebサイト Perlgeek.de で公開されているブログ記事 "Perl 5 to 6" Lesson 06 - Contexts の日本語訳です。 原文は Creative Commons Attribution 3.0 Germany に基づいて公開されています。 本エントリには Creative Commons Attribution 3.0 Unported を適用します。 Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi NAME "Perl 5 to 6" Lesson 06 - コンテキスト SYNOPSIS my @a = <a b c> my $x = @a; say $x[2]; # c say (~2).WHAT # Str() say +@a; # 3 if @a < 10 { say "short array"; } DESCRIPTION 次のように書いたとき、 $x = @a Perl5では $x は @a より少ない情報—— @a の要素数だけ——しか持ちません。 すべての情報を保存しておくためには明示的にリファレンスを取る必要があります: $x = \@a Perl6ではこれらは反対になります: デフォルトでは何も失うことなく、スカラ変数は配列を単に格納します。 これは一般要素コンテキスト(Perl5で scalar と呼ばれていたもの)及びより特化された数値、整数、文字列コンテキストの導入によって可能となりました。無効コンテキストとリストコンテキストは変更されていません。 特別な構文でコンテキストを強制できます。 構文 コンテキスト ~stuff 文字列 ?stuff 真理値 +stuff ...

Perl 5 to 6 - サブルーチンとシグネチャ

これはMoritz Lenz氏のWebサイト Perlgeek.de で公開されているブログ記事 "Perl 5 to 6" Lesson 04 - Subroutines and Signatures の日本語訳です。 原文は Creative Commons Attribution 3.0 Germany に基づいて公開されています。 本エントリには Creative Commons Attribution 3.0 Unported を適用します。 Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi NAME "Perl 5 to 6" Lesson 04 - サブルーチンとシグネチャ SYNOPSIS # シグネチャなしのサブルーチン——Perl5風 sub print_arguments { say "Arguments:"; for @_ { say "\t$_"; } } # 固定引数の型指定付きシグネチャ sub distance(Int $x1, Int $y1, Int $x2, Int $y2) { return sqrt ($x2-$x1)**2 + ($y2-$y1)**2; } say distance(3, 5, 0, 1); # デフォルト引数 sub logarithm($num, $base = 2.7183) { return log($num) / log($base) } say logarithm(4); # 第2引数はデフォルトを利用 say logarithm(4, 2); # 明示的な第2引数 # 名前付き引数 sub doit(:$when, :$what) { say "doing $what at $when"; } doit(what => 'stuff', when => 'once'); # ...

Perl 5 to 6 - ツイジル

これはMoritz Lenz氏のWebサイト Perlgeek.de で公開されているブログ記事 "Perl 5 to 6" Lesson 15 - Twigils の日本語訳です。 原文は Creative Commons Attribution 3.0 Germany に基づいて公開されています。 本エントリには Creative Commons Attribution 3.0 Unported を適用します。 Original text: Copyright© 2008-2010 Moritz Lenz Japanese translation: Copyright© 2011 SATOH Koichi NAME "Perl 5 to 6" Lesson 15 - ツイジル SYNOPSIS class Foo { has $.bar; has $!baz; } my @stuff = sort { $^b[1] <=> $^a[1]}, [1, 2], [0, 3], [4, 8]; my $block = { say "This is the named 'foo' parameter: $:foo" }; $block(:foo<bar>); say "This is file $?FILE on line $?LINE" say "A CGI script" if %*ENV.exists('DOCUMENT_ROOT'); DESCRIPTION いくつかの変数にはツイジルという第2のシジルがあります。これは基本的にはその変数が「普通」ではないということです。違いはいくつかあり、例えばスコープの違いなどです。 オブジェクトのパブリックな属性とプライベートな属性がそれぞれ . と ! というツイジルを持つことは既に紹介しました; それらは通常の変数ではなく self に結びつけられています。 ツイジル ^ はPerl5で例外的に扱われていたケースを一般化します。次のように書けます # 注意: Perl5のコードです sort ...

Project Euler - Problem 18

問題 原文 Find the maximum total from top to bottom of the triangle 日本語訳 三角形を頂点から下まで移動するとき、その最大の合計値を求めよ。 解答 動的計画法 を使ってボトムアップで簡単に解くことができる問題です。 簡単のため、小さい三角形で考えることにします: 0: j 1: h i 2: e f g 3: a b c d 2行目の各点を頂点として、2行の小さい三角形が作れることが分かります。 上の例で言えば、(e, a, b)と(f, b, c)、(g, c, d)の3つです。 (e, a, b)の頂点eから末端(a、b、c、dのいずれか)に移動したとき、その数値の合計は最大でe + max(a, b)となります(maxは最大値を選ぶ関数)。同様に他の2つもf + max(b, c)、g + max(c, d)と表せます。 これらをE、F、Gとおくことにして、例を次のように書き換えます: 0: j 1: h i 2: E F G (h, E, F)からなる三角形の最大値はH = h + max(E, F)、(i, F, G)からなる三角形のそれはI = i + max(F, G)です。 Eは「頂点eから末端に至る経路の最大値」で、FやGも同様ですから、HとIは「頂点h(やi)から末端に至る経路の最大値」となります。 これを先ほどと同様に置き換えて: 0: j 1: H I 頂点jから末端に至る経路の最大値はJ = j + max(H, I)となり、これが解です。 #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; use feature qw/say/; use List::Util qw/max/; my @rows = map { [ split /\s+/ ] } <DATA>; until (@rows == 1) { my $curr_row = $rows[-2]; my $bigger_branch; for (my $i = 0; $i < @$curr_row; $i++) { $bigger_branch = ma...

Project Euler - Problem 27

問題 しばらく止まってましたが今日から再開。 原文 Considering quadratics of the form: n 2 + an + b, where |a| < 1000 and |b| < 1000 Find the product of the coefficients, a and b, for the quadratic expression that produces the maximum number of primes for consecutive values of n, starting with n = 0. 日本語訳 |a| < 1000, |b| < 1000 として以下の二次式を考える (ここで|a|は絶対値): n 2 + an + b n=0から始めて連続する整数で素数を生成したときに最長の長さとなる上の二次式の, 係数a, bの積を答えよ. 解答 最大探索範囲は-999 <= a <= 999、-999 <= b <= 999なので、およそ4,000,000通りの係数の組合せを試すことになります。組合せ毎に数列を生成して、それが素数か判定するわけですからたまりません。簡単な検討を加えて範囲を絞りましょう。 与えられた二次式をf(n)とおくと、f(0) = b、f(1) = a + b + 1です。 f(n)が長さ2以上の素数列を生成するならこれらは素数ですから、次のことがいえます: bは素数である a + b + 1は素数である b = 2のとき、aは偶数である それ以外のとき、aは奇数である 素数判定関数 is_prime には同じ引数が与えられることがよくあるのでメモ化しています。 #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; use feature qw/say/; sub prime_seq_len($$) { my ($coeff_a, $coeff_b) = @_; my $len = 0; my $n = 0; $len++, $n++ while is_prime($n * ($n + $coeff_a) ...