去る2025年7月2日に Perl 5.42 がリリースされた。ので例によって perldelta  を一通り眺めた。  このバージョンは実験的機能である組込みのクラス構文の実装が進展した。 他にもパフォーマンスの改良、組み込み関数・演算子・C レベル API の追加、多数のバグ修正があるが劇的な変化ではなく、発見・修正された脆弱性もかなり限定的な問題なので刺さる機能がなければ急いで移行する必要はあまりないように思われる。  以下主だった新機能の抜粋。  source::encoding  プラグマ  ソースコードが特定の文字エンコーディングで記述されていることを宣言するプラグマ。サポートされているエンコーディングは ASCII と UTF-8 のみである。 use source::encoding 'ascii'  が宣言された字句的スコープにおいて非 ASCII 文字を記述するとコンパイル時エラーが発生するようになる。 use source::encoding 'utf8'  は単に use utf8  のシノニムである。  Perl 5 は 2000 年にリリースされたバージョン 5.6 から UTF-8 によるソースコード記述をサポートしているが、後方互換性のため既定では ASCII を前提としており、 utf8  プラグマを使わない限り文字列リテラルや RegExp リテラルはバイト列として解釈されるし、識別子にも英数字および '_'  しか使うことができない。  識別子はともかく「リテラルは既定でバイト列である」という意味論は極めて誤用しやすい。Unicode 文字列のつもりで渡した値が意図せずバイト列であったために実行時警告・エラーを得た経験は非英語圏のプログラマなら一度ならずあるだろう。  このプラグマはそのような初歩的なバグをコンパイル時に検出することで、Perl プログラムの最も頻出するエラーの一つを実質的に解消しようとしている。 ちなみに use v5.42  すると自動で use source::encoding 'ascii'  も有効になるので、今まさに警告を吐いているようなアプリケーションをアップグレードする際は注意が必要である。  any  / all  演算子  実験的...